母乳育児のママを悩ませる乳腺炎ーなかには、乳首から膿が出てきて、びっくりしてしまうママもいることでしょう。
おっぱいがパンパンに張って、痛みや熱があるときは、乳腺炎にかかっている可能性が。この乳腺炎の症状は、みな同じようなものだと思われがちですが、微熱が出たり、40℃近い高熱が出たりと、症状も軽かったり、重かったりとさまざま。
実は、同じ乳腺炎でも、「急性うっ滞乳腺炎」と「化膿性乳腺炎」と呼ばれる2種類があるんです。急に悪寒がして、39℃近い熱が出た場合は、後者かも。
今回は、化膿性乳腺炎のケアを中心に、乳腺炎の予防法を紹介します。
Contents
乳腺炎になったーあなたの乳腺炎の種類はどっち?
急性うっ滞乳腺炎
たいていの乳腺炎はこのタイプ。母乳が溜まった乳腺や乳管が、炎症を起こすことによって起こります。
母乳過多の場合や、授乳間隔をあけすぎのときに起きやすい症状。ママがどんどん母乳を作っても、赤ちゃんが作った分だけ飲んでくれなければ、飲み残しができてしまいますよね。
また、毎回、同じ抱っこの仕方で授乳すると、いつもおなじ乳腺に飲み残しができやすくなってしまいます。
飲み残しがたまった部分が炎症を起こすと、「急性うっ滞乳腺炎」に。乳房がパンパンにかたく張って、赤く腫れ、微熱が出ることもあります。
ここで朗報。このタイプの乳腺炎の場合は、細菌感染や化膿を起こしているわけではないため、母乳が溜まっている状態が解消されれば、症状もすぐに消えます。
腫れている部分を冷やしながら、いろいろな角度からこまめにおっぱいを飲ませましょう。
もし頻繁に授乳しても、しこりがとれず、ズキズキした痛みが続くようなら、助産師さんにマッサージしてもらうと、解消しますよ。
この段階で早めに対処しないと細菌が感染して、次に紹介する「化膿性乳腺炎」になってしまうことが。ひどくならないうちに対処しましょう。
化膿性乳腺炎
「化膿性乳腺炎」は母乳が溜まっている乳腺や乳管に細菌が感染して化膿することが原因で起こります。
化膿した部分が腫れて、かたくしこりになって、ズキズキした痛みが。これだけでもかなりつらい症状ですよね。
それに加えて、発熱は39℃を超えることもあり、産後体力が落ちて、風邪やインフルエンザにかかったと勘違いするママもいるそうです。
このタイプの乳腺炎、多くの場合は、なんと赤ちゃんの口の中にいる細菌によって発生します。えーっ、赤ちゃんの口の中にそんなに強い菌がいるの?って思うかもしれませんね。
普通なら、授乳時に、この細菌も母乳と一緒にに赤ちゃんの口の中に押し返されてしまいます。だから心配する必要はあまりないのですが、母乳の流れが悪くなっているときは、要注意。
細菌が乳口から侵入⇒乳腺や乳管で増殖⇒感染⇒乳腺炎となってしまうんです。
乳腺炎になったときの授乳ー膿があるとき授乳はどうする?
できれば膿があるときも授乳を続ける
乳腺炎で化膿しているときは、授乳しても赤ちゃんに影響がないか心配になりますよね。でも大丈夫、可能な限りは授乳を続けましょう。
昔は、化膿性乳腺炎では、断乳するように指導されていたこともあるようですが、授乳を続けることのメリットの方が、ママにとっても赤ちゃんにとっても大きいので、最近では授乳を続けるといった考え方になってきています。
母乳自体に殺菌作用があるので、赤ちゃんに膿が混じった母乳を飲ませても問題なし。授乳をやめると炎症が悪化して、ほかの乳腺や乳管にも感染が広がるリスクがあるので、赤ちゃんにしっかり吸ってもらって、母乳を出した方がいいのです。
乳腺炎は、回数を多く吸わせているうちに自然と治ることも。腫れて痛みのある部分を冷やしながら、前の授乳から3時間以内を目安に、頻繁に授乳しましょう。授乳後も張りを感じるときは、軽く搾乳を。
自己流のマッサージは控える
搾乳したあとも張りが続いて、マッサージをする場合は、母乳外来などで助産師さんに指導してもらうことをおススメします。
おっぱいが熱を帯びている場合には、マッサージによって悪化させてしまうこともあるので、自己流のマッサージは控えるべきです。
筆者は、産後1ヶ月頃に乳腺炎になり、39℃の熱が出ました。出産した産婦人科を受診し、助産師さんにマッサージをしてもらったら、それだけで熱が37.5℃まで下がりました。
マッサージ後には、助産師さんの指導どおり、日中、2時間おきに授乳を続けたら、次の日には、熱も下がって、おっぱいも元どおりになっていました。
痛みなどで授乳できないときは
乳首に傷などがあると吸われるだけで激痛が走って、授乳できないこともあるかもしれませんね。また化膿性乳腺炎にかかると、母乳の流れが滞って味が変わるために、赤ちゃんが嫌がって飲まないことも。
そんなときは、炎症を起こしているおっぱいからの授乳はひとまずお休み。張ってくるようであれば、張りがおさまる程度まで搾乳して、もう片方のおっぱいから母乳を飲んでもらいましょう。
乳腺炎になって高熱や痛みがあるときは早めの受診を
乳腺炎になって、高熱や痛みを伴うときは、早めに病院で診てもらうこと。助産師さんにマッサージしてもらって治ることもあれば、必要によっては、点滴したり、抗生剤や漢方薬などが処方されたりするかもしれません。
授乳中、赤ちゃんの影響が心配になるかもしれませんが、特殊な菌でない限り、薬の成分が母乳に微量に混じったとしても、影響のない薬が処方されるはずです。
化膿性乳腺炎の症状がひどくなって、膿瘍ができてしまった場合には、マッサージではどうすることもできず、切開して膿を出すことに。治療も長期化するので、そうなってしまう前に早めに病院へ行きましょう。
乳腺炎の再発を予防するためには?
清潔にして、頻回授乳を
再発の予防には乳首を清潔に保つことが重要。赤ちゃんが飲み終わったあとには、授乳後に軽く搾乳して、侵入した細菌を母乳と一緒に絞り出しておきましょう。
また母乳には殺菌力があるので、授乳をする前にもちょっと絞って、乳首に塗っておくのも効果的です。
また、授乳の際は、左右のおっぱいを交互に数分ずつ、まんべんなく色々な角度から吸わせることが、母乳が溜まるのを防ぐのには一番です。
カロリー控えめのバランス食を
空腹時には、手軽に食べられる菓子パンなどがついつい、多くなってしまっていませんか?疲れているときは、甘いものも必要ですが、偏った食事は、母乳にはよくありません。
日頃から脂肪や油分の多いものを食べ過ぎないように、カロリー控えめのバランスのよい食生活をこころがけましょう。
血液から母乳がつくられていることはよく知られていますよね。赤ちゃんがおいしいと感じるサラサラした母乳をつくるには、ママが血液をサラサラにする食生活をすればいいんです。
「まごわやさしい」という言葉、聞いたことあるでしょうか。血液がサラサラになる食材をとり入れるためには、この「まごわやさしい」を意識するといいですよ。
- マ → マメ (大豆、納豆、豆腐、黒豆など)
- ゴ → ゴマ
- ワ → ワカメ(海藻類)
- ヤ → ヤサイ(季節の旬の野菜がおススメ)
- サ → サカナ(あじ、さんま、いわしなどの青魚や貝類)
- シ → シイタケ
- イ → イモ
水分をしっかりとる
授乳中は、どうしてものどが渇きやすくなります。ドロドロとした血液にしないためには、水分をしっかりとることも大切。
乳腺炎の予防に特におススメなのは、血液をサラサラにする効果のあるごぼう茶です。また、初期の風邪薬としてよく飲まれる漢方薬、葛根湯は、乳腺炎による母乳の滞りや痛みにも効果を発揮します。
おっぱいが張ってきたり、チクチクしたりして、乳腺炎の予兆を感じたときには、葛根湯を飲むことをおススメします。
まとめ
乳腺炎は、母乳育児中のママにはよくあるトラブルです。筆者のまわりには、月に1回はかかっていたというママも。
でも、乳腺炎は母乳育児中ずっと、つきまとうトラブルではなく、3ヶ月ほどたって、赤ちゃんの吸う量とママの母乳の製造量が合ってくると、胸の張りの解消とともにかからなくなります。
ですが、そんなに待たずになるべくなら、乳腺炎にはかかりたくないですよね。
予防するには、胸が張ってチクチクしてきたなぁ、と思ったら、とにかく赤ちゃんに吸ってもらうこと。一方で、母乳にいい食生活を通して、母乳がスムーズに流れるように、日頃からこころがけも大切です。
もし、乳を吸わせても痛みや熱がとれない場合は、悪化する前に、絶対に早めに対処すること。毎日母乳外来をやっていない産婦人科でも、緊急でみてくれるところが多いので、ぜひ相談してみてください。
溜まって炎症を起こしてしまうほど、がんばって母乳をつくっているママのおっぱい、本当におつかれさま。いつか「あの頃はおっぱいが大変だった~」と、他のママさんと乳トークのネタになる日がきますからね。
参考:たまごクラブ 初めてママの母乳育児安心BOOK
↓ぽちっと応援よろしくお願いします。