乳頭混乱を克服したいと思っているけれどもやり方がわからなくって、悩んでいるママは、意外とたくさんいるものです。
筆者は、ある日突然、長女におっぱいをあげようとしたら、ギャン泣きされておっぱいを拒否され続けて、途方にくれてまったことがあります。そのときに相談した助産師さんから、初めて聞いたことばが「乳頭混乱」でした。
そのときに助産師さんに言われたのは、「よくあることだし、そんなに大した問題じゃない」ということ。
「赤ちゃんはママのおっぱいが大好きだし、絶対解決できるから大丈夫」というアドバイスをもらい、その日から、おっぱいボイコットを阻止すべく筆者の挑戦が始まりました。
乳頭混乱は、混合栄養で赤ちゃんを育てているママがよく経験するトラブルのひとつですが、授乳時に工夫をすることで治すことが可能です。
今回は、乳頭混乱に陥る理由と、そうなってしまった場合の具体的な克服方法をご紹介します。
Contents
なぜ乳頭混乱が起こるのか
「乳頭混乱」は、ことばの通り、赤ちゃんがママの乳頭と哺乳瓶の乳頭の区別がつかなくなり、混乱してしまうこと。そもそも、なぜ混乱してしまうんでしょうか。
それは、ママの乳頭(乳首)と哺乳瓶の乳頭は似て非なるものだから。ママのおっぱいから出る母乳を吸うときと、搾乳した母乳やミルクを哺乳瓶の乳首からを吸うときのプロセスがまったく違うために、赤ちゃんが混乱してしまうのです。
ママのおっぱいを飲むときに、赤ちゃんは、なんと約40個の顔の筋肉を使っていると言われています。
赤ちゃんが直接母乳でお腹を満たすには、いくら本能とはいえ、想像を超える労力がかかっているんですね。
- 口を大きく開く
- 乳首と乳輪(乳首周辺の色の濃い部分)の大部分を口に含む
- 下の歯茎部分より下の位置まで舌を突き出して、乳管部分を舌をUの字にして巻き込む。
- 唇と舌を同時に動かしながら、乳管部分をしごいて母乳を吸う
スムーズに授乳を開始するコツは、赤ちゃんがママの乳首に吸いつこうとするタイミングに合わせて、ママが上手に自分の乳首を赤ちゃんの口に含ませられること。これが上手くいくと、赤ちゃんが母乳でお腹を満たすことができます。
ママのおっぱいを飲むのには、上記のような複雑な技能が必要なのに比べて、一般的な哺乳瓶の乳首から飲むときには、赤ちゃんがちょっとの力で吸うだけで出てくるので、くわえ方が浅くてもゴクゴク飲める。
つまり、哺乳瓶での授乳は、少ない労力でお腹を簡単に満たすことができてしまうんです。
ある日突然、おっぱいを拒否するのは、哺乳瓶からのシンプルな授乳に慣れてしままったため。直接母乳を飲むための複雑な労力を放棄してしまったり、どのように飲むか自体を忘れてしまうからなんですね。
乳頭混乱のサインは?
最もわかりやすい乳頭混乱のサインは、赤ちゃんがママのおっぱいから母乳を飲むのを拒絶すること。
他にも、以下のような兆候があったら、乳頭混乱を起こしているか、その予兆かもしれません。
- 赤ちゃんが舌を突き出して乳首を吸うのを拒否
- 口を大きく開けて乳輪部までくわえずに、乳首だけをチュウチュウ吸っている
- 授乳の途中で、ぐずって泣き出すことがよくある
- 母乳をあげる前に哺乳瓶で授乳をしていたり、ママの用事などで哺乳瓶からしか授乳をしていなかったりする日がある
赤ちゃんが、からだを反り返したり、大泣きしたりしながらおっぱいを拒絶すると、ママは心が折れてしまいそうになりますよね。
でも覚えておきたいのは、乳頭混乱を起こしている=赤ちゃんはママのおっぱいが嫌いというわけでは決してないこと。哺乳瓶の方がおっぱいよりも簡単にのめるだけという理由です。
せっかく母乳が出ているのに、ここで、母乳育児をあきらめてしまうのはもったいない。やり方次第で簡単に、赤ちゃんがママのおっぱいに再び吸いつくようになるので、あまり落ち込まないでくださいね。
乳頭混乱を克服するための6つの方法
乳頭混乱を克服して、わが子に母乳を吸ってもらいたいと願っているママに、筆者が克服した体験談も含めて、6つの効果的な方法をお伝えいたします。どれも簡単にできることなので、ぜひ試してみてください。
1.ママの乳首に近い哺乳瓶のゴムを使う
ママのおっぱいのかたちと異なって、簡単に飲める乳首に慣れてしまうから起きる乳頭混乱。だったら、ママのおっぱいを吸うときと同じ労力と筋肉を使う哺乳瓶のゴムを使えばよいわけです。
日本の製品でよく知られているのは、「ピジョン」という会社が開発した母乳相談室という哺乳瓶。母乳と哺乳瓶のギャップが少なくなるように作られた哺乳瓶だそうです。
普通の哺乳瓶の乳首と違って、リアルな乳首に近いかたちをしています。乳首がかたいために、赤ちゃんが飲む時間もかかりますが、その分、吸う力も鍛えてくれるんです。
ピジョン製の哺乳瓶「母乳実感」を使用しているママは、乳首だけを交換すればよいので、哺乳瓶はそのまま使うことができます。
赤ちゃんストアやベビーストアで購入することができないのですが、楽天やAmazonなど、インターネットで購入することができますよ。
2.カップフィーディングをする
カップフィーディングとは、日本語でいうとコップ飲み。文字通りカップからミルクや母乳をあげることです。
「赤ちゃんがカップで飲めるの?」と驚くママもいるかもしれませが、これは、NICU(新生児集中治療室)などでも行われている方法。災害時に清潔な哺乳瓶が手に入らないときにも、紙コップなどを使って授乳できちゃう便利な方法です。
筆者が出産した産院でも、母乳が出ない時期にこのやり方でミルクをあげていました。
筆者は、哺乳瓶の乳首に慣れてしまった長女を更生させるべく、ミルクが足りない時期には、乳首をつけない哺乳瓶をコップ替わりにこの方法で授乳していました。
- 哺乳瓶で授乳するように、赤ちゃんの体を半分起こす
- 赤ちゃんの首元が汚れないように、タオルなどを置く
- カップを赤ちゃんの下唇に添える
- カップを傾けて、ミルク又は搾乳した母乳を赤ちゃんの唇に数滴たらす
- 赤ちゃんが飲むのを待つ
赤ちゃんがむせないように、赤ちゃんの飲むペースに合わせて、少しずつ傾けていくことがポイントです。
コップで飲むよりは、ママのおっぱいがよかったのか、筆者の子は3日ほどで、おっぱいボイコットをやめましたよ。
3.授乳前におっぱいマッサージをする
ママの乳首がかたいがために赤ちゃんが飲みにくくて、おっぱいを拒絶するようになっていることがあります。
そんなときは、授乳前に乳頭と乳首部分をマッサージしてやわらかくしておくといいですよ。
マッサージをする際にちょっと搾乳をして、出てきた母乳を乳首まわりに塗っておくと、赤ちゃんがくわえてくれることがあります。
4.授乳時の抱き方を変えてみる
赤ちゃんは、毎日成長し変化しています。前は安定して母乳を飲みやすかった姿勢が、体重の変化とともに不安定で居心地が悪くなり、母乳が吸いにくくなっているかもしれません。
そんなときは、授乳時の抱き方を少し変えてみると、赤ちゃんが落ち着いているときに、すぅーっとママのおっぱいに引き寄せられて、吸いつくことがあります。
横抱きばかりだったママも、たて抱き、フットボール抱きなど色々な授乳姿勢を試してみて、赤ちゃんがリラックスして飲める姿勢が見つかるといいですね。
5.赤ちゃんの吸てつ反射を利用する
赤ちゃんの原子反射のひとつである吸てつ反射を利用して、母乳を吸わせるのも一つの方法です。
吸啜反射は全ての哺乳類に共通で備わっており、誕生時に存在する。吸啜反射は探索反射とともに母乳栄養のためにある。吸啜反射によって乳児は、本能的に口の縁に触れたものを何でも吸い、母乳を得る方法を模倣する。動作は2段階からなる。
Expression – 乳首が子供の唇の間に置かれ、口蓋に触れた時に活性化される。Milking – 舌が乳輪から乳首に移動し、母親からの母乳を促す。
ウィキペディアより引用
これは、寝かしつけや夜間授乳の際に特に効果的。乳首をまず赤ちゃんのほっぺの近くに持っていくと、赤ちゃんは反射的におっぱいの方向を向いて口を開けます。
間を空けずに、乳首を赤ちゃんの唇に含ませて吸わせます。このときのコツは母乳が出やすいように深くくわえさせること。ママの小指を赤ちゃんの口に入れて、位置を調整してあげるとうまくできますよ。
6.授乳時に赤ちゃんとコミュニケーションする
赤ちゃんは、ママの言っていることを理解するには早すぎる?そんなことはありません。それどころか、あなたが話していることに、まるで話がわかるかのような反応を見せることがあります。
赤ちゃんに母乳をあげるときには、幼児に向かって話すように、身振り手振りを交えて、きちんとどうやっておっぱいを吸うのかを教えてあげるといいですよ。
おっぱいを飲ませる前に、ママ自身が口を開けておっぱいを飲むような動作を示しながら「ママのおっぱい美味しいよ~、飲もうね~」などと、話しかけてみてください。
驚くことに、ママが口をあけてるのを見て、赤ちゃんが連られて口を開くことがあります。そう、まるでママの言葉を理解しているかのように。
ママとのコミュニケーションを通じて、赤ちゃんが口を大きく開いて飲もうとしてくれると、ママもとても嬉しくなってしまいますよね。
おっぱいを口に含んでちょっと吸ったあとに、すぐに外してしまうこともあるかもしれませんが、そんなときも、「おっぱい飲んでくれてありがとうね~」など、笑顔で褒めてあげてください。
根気がいるときもありますが、これを繰り返すと赤ちゃんはだんだんママのおっぱいに慣れていってくれますよ。
赤ちゃんと授乳時にコミュニケーションすることは、何よりもママ自身のストレスを軽減することにも役立ちます。
赤ちゃんが母乳を飲んでくれないときこそ、リラックスした気持ちでゆったりと授乳をすることをお忘れなく。ママがイライラして怖い顔をしていたら、赤ちゃんにとってもストレスになってしまいますよ。
ミルクの足し方ー筆者が乳頭混乱を克服して完母になるまで
ミルクとの混合栄養で育てる理由は、事情によってさまざまですが、母乳量が足りなくて混合にしている場合、かつ完全母乳を目指していたら、まずミルクを足す回数を減らすことから始めるといいですよ。
たとえば、仮にミルクを1回で30ml×7回=210ml足しているとしたら、70ml×3回にして、哺乳瓶であげる回数を減らします。そのかわり、母乳は赤ちゃんが飲みたいだけあげたらいいんです。
筆者は、日中は母乳のみを頻回に吸わせて、夕方の少し出が悪くなる時間帯と、夜間に起きて、どうしても寝てほしいときだけにミルクを追加するようにしました。
また、母乳の出が十分でないうちに意識してこころがけていたことは水分補給。通常の水分摂取量に加えて、母乳の分泌量の分もプラスで必要だからです。
友人にすすめられたハーブティーを毎日飲みつつ、ミルクを足す回数を減らし母乳を吸う回を多くして乳頭混乱を克服。それを続けた結果混合から完母へと移行することに成功しました。
今は母乳の出が悪くて混合栄養で育てているママも、母乳は吸わせ続けている限り、量を増やすことができますよ。
参照:混合栄養から完全母乳移行のコツ―完母を目指して1ヶ月半
まとめ
赤ちゃんは、お母さんの匂いや暖かさなどが大好き。そのお母さんの母乳が嫌いなはずはないのです。
乳頭混乱になってしまったのは、簡単にお腹を満たせる哺乳瓶の乳首に慣れてしまっただけ。根気がいるかもしれませんが、乳頭混乱は必ず治すことができます。
それに、乳頭混乱は、これからの長い育児のプロセスのなかで克服していくことのうち、ほんの一部に過ぎません。
これからやってくるイヤイヤ期の予行練習?これも赤ちゃんの成長のひとつくらいに捉えて、どーんと構えて、一つ一つできることから試してみてください。。
再びママのおっぱいを求めて、喜んで戻ってくる日が必ずやってきます。あまり気を張らずに育児を楽しんでくださいね。
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